番号ポータビリティと通話料くりこし競争

先日KDDIが8月よりauの通話料を3ヶ月繰り越せるようにすると発表した.
KDDIは「3ヶ月くりこし」──3キャリア繰り越し競争|ITmedia
ボーダフォン,ドコモに続いて,auも繰り越しサービスを始める事で
3社とも繰り越しサービスが行われることとなった.

auユーザーの私としてはこのサービス開始はありがたい.
時々無料通話分を超えてしまうものの基本的には毎月無料通話分でしか使っていない私は,
以前から他キャリアで行っている繰り越しサービスをやってもらいたいと思っていた.
今度導入されるauの繰り越しサービスは3ヶ月と3社の中で最も長い.
3ヶ月も繰り越しが有効とあればどこかの月で足が出ても,他の月の余り分が使えそうだ.
通話料繰り越しサービスが各社で行われることとなり,
年割や家族割などといった各種割引サービスも各社で展開されてきている.
これは今年番号ポータビリティ制度が導入されるのを前にしての利用者囲い込みだと考えられる.
しかし,実際に囲い込みの効果はあるのだろうか.
この事に関してCNETに興味深い記事があった.
番号ポータビリティ、料金競争が激化すれば「意味がない」–NRIが発表

 NRIが昨年9月に実施した携帯電話利用者調査によると、現在契約している事業者のサービスに大きな不満を持つユーザーと、他の事業者に大きな魅力を感じるユーザーは、電話番号が変わってもそのままでも関係なく事業者を変更するという。

この調査はなかなか面白い.
番号ポータビリティは携帯電話利用者がキャリアを変更する際に生じる「電話番号の変更」という障壁を取っ払い,
利用者のキャリア間の流動性を高める事,
また流動性を高める事により,各社が料金の値下げやコンテンツの充実を図るなど競争を活性化させるのが目的だと思う.
そんな訳で今回のような料金関係のサービスを始めたりおサイフケータイなどの付加価値を付けようとしているのだろう.
しかし,実際には「電話番号の変更」という障壁を取っ払っても利用者の流動性にさほど変化はないとの見解だ.
つまり料金,コンテンツ,サービス,端末などキャリアの選択理由がいくつか考えられるが,

その中で「現在と番号が変わらない」という因子の順位は低いと言う事だ.

番号ポータビリティが始まり,キャリアを変更した際に引き続き同じ電話番号を利用しても,
メールアドレスは変更になる事などを考えると,番号だけ継続される事への魅力は少ないのもうなずける.
利用料金だけに話を絞ると,番号ポータビリティの魅力にいくら払うかという話になる.
利用料が高いキャリアを利用しつづける事は他の安いキャリアとの利用料の差額分だけ番号ポータビリティの利用料を払っている事に等しい.
この考えで言うと,多くの携帯電話利用者は番号ポータビリティにあまりお金を掛けようとは思っていないようで,
電話番号が変わることなどは気にせず,少しでも利用料金が安いキャリアへと乗り換えると言う事になる.
実際には利用料金だけではなく,同様に様々な因子が比較される事になるわけだが….
番号ポータビリティによってもっとキャリアの乗り換えが多くなるかと思っていたが,
あまり影響がなさそうと言う事が意外であった.
しかし,新しい携帯端末を安く買うために電話番号が変わることなど気にせず機種変更ではなく新規加入をする人がいることを考えると,そんなものなのかもしれないとも思う.
通り乗り換えたいときは乗り換えると言う人はそもそも番号の変更に抵抗を持っていないので,
番号ポータビリティを利用する事も少ないだろう.
結局,番号ポータビリティがもたらすものってなんなのだろうか.
番号ポータビリティの開始が本当に流動性を高めるのかどうかは疑問だが,
これにより各社が競争してくれる事はどうも利用者にとってはありがたい事実のようだ.

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